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銀河英雄伝説 第2話「アスターテ会戦」

〜前回までのあらすじ〜

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無能な司令官により、チャンスをピンチに変えられ全滅の危機に晒される同盟軍。
そんな中 帝国軍を率いるラインハルトは、気を抜くことなく残る第二艦隊へさらなる攻撃を命ずる。どうなる!同盟軍!?この窮地を脱することはできるのか!?



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「もう、遅いな。」

死を受け入れちゃったヤンくん。

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「ウワァ〜!!」

そして抵抗する間もなく、第二部隊の旗艦へ帝国軍の攻撃を受けた味方の船体が激突してくるというなんとも言えない不運に遭う羽目に。その衝撃により、艦内の人々は身体を床に叩きつけられています。

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「うう・・・」

痛みを我慢して起きあがるヤン。先程 打ちつけた頭からは血が流れていますが、そんなことに構ってはいられません。
各部署からの通信が響く中、自分が倒れてるわけにはいかない。皆がパエッタ中将や、自分からの指示を待っているのだから。一刻も早く、この形勢を立て直す方法を考え 伝達してやらないと——

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「・・・・・・」

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「総司令官!!」

何故 貴方が寝てるんですか。ヤンも思わず目を見開きます。
まさかと慌てて駆け寄ったところ、どうやら意識はある様子。一先ず安堵し、ヤンはパエッタに代わって各部署に連絡します。ああ、とりあえずは壊滅的な被害じゃなくてよかった。これならなんとか持ち堪えられるだろう。ところで、誰か仕官で無事は者はいないのか?まさか皆 やられたわけじゃないだろうな?そうなれば隣で寝転んで現実から目を逸らしている男を叩き起こすしかなくなるぞ。

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「私は、簡単にはくたばりません。」

そこへ現れたのは負傷したアッテンボロー。
アア〜〜よかった!!心強い仲間が残ってくれた。他でもない、気心知れたアッテンボローがいてくれれば百人力です。いやー、よかった よかった!

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「・・・他にはいないのか?」

むしろ不安が増しているヤン。

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「見回ってきましたが・・・」
「それじゃ、首脳部は全滅に等しいじゃないか・・・」


さらりとアッテンボローへの期待値の低さを口にし、頭を掻くヤン。もう諦めるしかないのかと思われた そのとき、パエッタが力を振り絞って上体を起こします。
やっぱりね、無能とはいえ上官。無能とはいえ、司令官。このままのんびり寝てるわけないって、皆 信じてた。傷がなんだ、痛みがなんだ、そんなものはこの戦いが終わってから存分に味わえばよろしい。ここぞというときにはビシッとキメてくれる、それが我らが同盟軍——ご覧ください、第二艦体司令官、パエッタ中将!

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「ヤン准将、・・・きみが・・・艦隊の指揮を執れ・・・!!」

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ここにきてぜんぶ押しつけてきやがった。

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「用兵家としての君の手腕を見せろ」と物騒な言葉だけ残し、これ以上ないタイミングで意識を失うパエッタ。救護班によって医務室に運ばれていきます。
初めこそ戸惑っていたヤンも、皆を不安にさせないよう堂々とした態度で的確に指示をだしていきます。自分がやらなきゃ誰がやる。ここで失敗しようもんなら、この戦いでの全責任がヤンに降りかかってくるのは明らかです。降格、減給、不吉な単語が頭に浮かんでは消えてゆく。何がなんでも持ち堪えなければならない——まさに背水の陣。ところでパエッタってそんな重傷だった?ヤンと同じくらいの怪我にしか見えなかったんだけど、私には。あれかな、倒れた拍子に持病のぎっくり腰が悪化したのかな。

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「この期に及んで往生際の悪い・・・」

すんなり勝たせてくれない同盟軍にご立腹のラインハルト。子どものように拗ねた表情をしています。
だらだらと戦っても自軍の損害は増えるだけだ。ラインハルトは、キルヒアイスに全艦隊へ戦列変更するよう司令を頼みます。そう、デキる司令官は臨機応変に作戦を変えてゆくものです。

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「紡錘陣形をとるよう伝達してくれ。・・・理由はわかるな?」

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「中央突破を・・・なさるおつもりですね?」

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☆*:.。. やったね!以心伝心 大成功! .。.:*☆

キルヒアイスが自分の考えをピタリと当ててくれたことにご満悦な笑みを浮かべるラインハルト。
さすがだ、キルヒアイス。私の考えをここまで正確に理解してくれる人間など、お前以外に存在しないだろう。姉上を除いて、だがな。

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「中央突破を図る気だ。」

ラインハルトの作戦ってごく一般的なの?
すんげーバレてるけど。それへの対策もバッチリとられてるけど。大丈夫?

そう、対策もバッチリとられてるんです。この時点で、ラインハルトが仕掛けてくるであろう戦法を先読みしていたヤンは それを逆手にとった作戦を指示しています。
中央突破で分断されたように見せかけて、二手に分かれ逆進し 帝国軍の艦体の後ろに回るという作戦。

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「してやられた・・・!中央突破戦法を逆手にとられてしまった!」

一瞬にして自分たちが不利な状況に追い込まれてしまったことに悔しさを露わにするラインハルト。

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「こんな真似ができるのは・・・あの男だ!」

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「ヤン・ウェンリー准将・・・!」

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ココイチの穏やかな笑みを浮かべるヤン。

見てますか、総司令官。初めから私の提案を受け入れていればよかったんです。今頃 医務室でゴロ寝しているパエッタへ心の中で話しかけます。

しかし、帝国軍もここで負けるわけにはいきません。前進を続けながら、背後の敵のさらに後ろに回るよう指示をだします。
ちなみにその司令を無視した艦は攻撃されて木っ端微塵になるのですが、そこはラインハルト様、「自業自得だ。」と無慈悲なお言葉で済ませています。いや、まあ、そうなんだけどさ。ここでその美しいお顔を曇らせ 涙の一つでも見せりゃあ、支持率はうなぎ登りだったのに。

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そして数時間後、陣形はリング状へ。

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「なんたる無様な陣形だ・・・!」

これ以上 戦っても得るものはないと判断したラインハルトは、キルヒアイスの後押しもあり 引くことを決意します。
そして改めて、あの絶望の局面からここまで自分たちを追い詰めた同盟軍の司令塔を思い 表情を険しいものにさせるラインハルト。だってここで引くところまでヤンに予想されてましたからね。隠せてる部分がないですからね、シスコン以外は。

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「しかし・・・やはり やるではないか、あの男。」

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「ヤン・ウェンリー准将・・・」

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「・・・ああ。」

ね、お前、ちゃんとヤンの名前 覚えてる?

毎度 毎度、「あの男」っつってるけど。わかってる、誰のことか?毎度 毎度、キルヒアイスがヤンをフルネーム階級付きで呼んであげてるけど。大丈夫?忘れてるなんてことないよね?
キルヒアイスもそろそろ怪しんでそう。次にラインハルトが「あの男・・・」で言葉を詰まらせたときは「ええ。恐らく彼でしょう・・・」とかなんとか言って名前を濁すと思われます。

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「帝国軍から電文が入りましたよ。」
「・・・電文か。」


ようやく手当てをしてもらい、一息つくことができたヤン。敵軍からの電文と聞いて少し身構えます。彼のことだからチェーンメールみたいなのを寄越してきたんじゃないだろうね?今すぐ三人に同じ電文を送らないと敗戦します、とか。
しかし内容は『貴官の勇戦に敬意を表す。』という、自軍の半数の敵に敗れた側にとっては皮肉としか捉えようのないものでした。というか、なんかもうすんごい上から目線でくるな。いや、実際 立場的には上なんだろうけど。間違ってはいないんだけど、もう、文でも容赦なく階級の差を見せつけてきて笑う。

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「・・・返信しますか?」
「いやぁ、いいさ、放っておいて。それより残兵の収容を急いでくれ。」


助けられる限りは助けたい——戦死した友人を思いながら、これ以上 犠牲者数を増やさないためにも、ヤンはまだ生きている仲間たちの救出を優先させます。

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「・・・・・・ッ!!」

同時刻、ヤンの友人であり 戦死したラップの婚約者・ジェシカは、その訃報を聞き 泣き崩れていました。
また、ラップは生前 少佐として軍に仕えていましたが、この度の ”名誉ある戦死” のおかげで2階級特進し大佐へ。ジェシカは涙を零しながら、悲しみをぶつける場所を探します。不名誉でも腰抜けでもなんでもいいから、生きていてほしかった。帰ってきてほしかった。今 彼が大佐に昇格したところで、どうするのだ。何になるというのだ。だって、彼はもう この世の何処にもいないのに。

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「キルヒアイス。イゼルローン要塞に寄航後、直ちに 首都星オーディンに帰還するぞ。」

一方、勝者であるラインハルトはもちろん悲しみに暮れる必要もなく、今後のスケジュールの相談を涼しい顔でしています。

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「姉上の誕生日には間に合わぬがな。」

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そしてキルヒアイスもこの微笑。

残兵の収容とか、してんのかな。大丈夫かな?未だに取り残された人たちがウヨウヨ宇宙を漂ってるなんてこと、ないよね?
こんなときにまだ姉の誕生日のこと考えてるラインハルトもラインハルトだけど、それを咎めないキルヒアイスも相当キテる。「ラインハルト様、今は姉君の話よりもっと重要なお話が・・・」とかぜんぜん言わない。むしろガンガン話を振ってく感じだもんな。帝国軍ツートップはほのぼのしてていいですね。下っ端は大変だろうけど。

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「また軍は、今回の戦いも大勝利と発表しましたね。」
「ああ。これでは一度も負けないうちに、私たち同盟軍は一人もいなくなっているかもしれないね。」


宇宙から帰還後、墓参りをしに来たヤンとアッテンボロー。会話はやはり先日の会戦についてですが、国民の不安を煽らないためにと嘘をつく上層部を快く思っていないようです。かと言って何もかもを正直に話せばいいというものでないことも理解しているため、ヤンの心情は複雑です。

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「・・・!」

とある墓の前にいる女性を見て、思わず立ち止まるヤン。その墓は友人であるラップのものであり、その女性はラップの婚約者であるジェシカでした。
ヤンはジェシカに近づき声をかけますが、うまく言葉がでてきません。自分がいったい、何を言えるというのだ。これから彼女は、悲しみを背負って独りで生きていかなければならない。どんな言葉をかけたって、それは変わらない現実なのだから。ジェシカはヤンが自分を慰めようとしていることに気付き、続きを拒みました。

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「ジャンは戦争に殺された。・・・貴方を恨みはしないけれど・・・貴方のお仕事は、その戦争でしょう?」

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「・・・・・・」

震える声でそう告げ、去っていくジェシカ。ヤンは彼女の言葉に、何も返すことはできずにいました。

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「・・・ああ、私たちの仕事は戦争だった。」

そうなんだよな、と呟いて、ヤンは形だけの墓を見つめます。自分の仕事は、戦争。それは友人を失っただけではなく、その周りの人々の笑顔まで奪っている。これが平和のための犠牲ならあまりにも重すぎる。
勝っても負けても、自分は誰かを傷つけているのだ。敵の大将から勇戦だと讃えられようと、軍が大勝利だと発表しようと・・・。

ジェシカの悲痛な思いは軍人になりきれていないヤンの心に深く刺さり、じくじくと痛みだけを残していったのでした。


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by r_nejp | 2015-09-16 23:03 | GAME/COMIC
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